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イチローも語る「非合理」の必要性|世界の風変わりなイグノーベル賞

「ハトはピカソとモネの絵を区別できる?」

世界には、世のため人のための研究が五万とあります。
経済成長のための研究、健康に関する研究、ITの研究。
それらの研究の成果として、現代人は便利な生活を送ることができています。

ノーベル賞は、その中でも特に顕著な功績を残した人に贈られる有名な賞です。
では、世の中には合理的で役に立つことだけが必要なことなのでしょうか。

結論からいうと「非合理的なことも大事」と考えられています。
その成果が「イグノーベル賞」として表彰されます。

なぜ非合理が大事?
イグノーベル賞とは?

ここから詳しく見ていきましょう!

イチローも必要とする非合理

いそがしい会社員にとって、合理性は必要不可欠です。
1分でも無駄にしない仕事の仕方が、生産性を高めます。
IT機器を有効活用して、時間を管理することが求められます。

しかし、メジャーリーグで大活躍をして2019年に引退したイチロー氏は、次のように非合理の大切さを説いています。

「無駄なことから学ぶことって多い。無駄なことはできるだけやった方がいい。じゃないと合理的になれない。頭だけで理解しているケースって、それは危険だと思う」

人々を笑わせ考えさせた研究に与えられる賞


イグノーベル賞
という賞をご存知でしょうか。

この賞は「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して、毎年9月もしくは10月に与えられる賞です。
1991年にサイエンス・ユーモア雑誌『風変わりな研究の年報』の発刊の際に創設されました。
脚光の当たりにくい分野の地道な研究に対して、一般の人々の注目を集め、科学の面白さを再認識させてくれます。

ちなみに日本はイギリスと共に受賞の常連国となっています。

イグノーベル賞の受賞例


イグノーベル賞は、下記のような受賞例があります。

1995年 心理学賞
ハトを訓練してピカソの絵とモネの絵を区別させることに成功したことに対して

1997年 経済学賞
「たまごっち」により、数百万人分の労働時間を仮想ペットの飼育に費やさせたことに対して

2004年 平和賞
「カラオケを発明し、人々が互いに寛容になる新しい手段を提供した」業績に対して(歌によって相手に苦痛を与えるためには、自らも相手の歌による苦痛を耐え忍ばなければならない)

2004年 公衆衛生賞
床に落ちた食べ物を食べても安全かどうかについての「5秒ルール」の科学的妥当性の研究に対して

2021年 音響賞
自身の話した言葉をほんの少し遅れて聞かせることでその人の発話を妨害する装置「スピーチジャマー(Speech Jammer)」を発明したことに対して

2018年 医学教育賞
堀内朗が自身で内視鏡を操作し自分の大腸を検査した結果をまとめた論文「座位で行う大腸内視鏡検査―自ら試してわかった教訓」に対して

【結論】イグノーベル賞から生まれた「合理性」


合理性は非合理なことから生まれます。

すべてを合理的に進めようとしても、いつか限界がきます。

たとえば、2005年の経済学賞を受賞したガウリ・ナンダさんは「逃げ出して隠れる目覚まし時計」を開発しました。
その結果、理論上は確実に人をベットから叩き出すことに成功し、多くの生産的な時間を増加させました。
彼女は受賞当時、マサチューセッツ工科大学の大学院生でした。
その後「Nanda Home」という会社を立ち上げ「Clocky」という逃げる目覚まし時計を開発・販売しています。

2011年の医学賞を受賞した共同チームは「忙しい最中ほど無性にトイレに行きたくなる」ことを研究しました。
その研究結果によると、膀胱のコントロールがうまい人は、金を使うなどの誘惑に対して抵抗力が高いこともわかりました。

会社員は合理性を求める必要があります。
利潤の追求のためには、合理的に生きなければなりません。
しかし、時に非合理なことも必要なのです。
非合理なことから、合理性は生まれます。

あなたも1日の少しの時間を、無駄なことに割いてみてはいかがですか?