「ん〜まずい!もう一杯!」
誰もが一度は聞いたことのある青汁のキャッチコピーです。
でもこの会社名はご存知ですか?
誰もが耳に残るキャッチコピーを作るのは難しいですよね。
でもツラツラと文章で書きつづっても、最後まで読んでくれません。
どうすれば端的に伝えることができるのでしょうか。
結論からいうと「日常のワンシーンを切り取る」という技術を使いましょう。
ポイントは「下手に商品を褒めず、ついつい出る一言を使う」ということ。
それではいってみましょう!
五感を刺激する言葉の力
「見てるだけ〜」by ニッセン
「そうだ、京都、行こう」by JR東海
のように、そのフレーズを聞いただけで頭の中に絵が浮かびます。
秀逸なフレーズは、人間の五感を鋭敏にします。
素晴らしいフレーズを作ることができれば、人を動かすトリガーになりますよね。
でもそんな秀逸なフレーズは、素人が作ろうとして作れるものではありません。
それを生業にしているコピーライターが、膨大な経験と知識から導き出しているのです。
とはいえ、キャッチコピーを作ったり、文章を書いたりしなければならない時もあります。
そんな時はどうすればよいでしょうか。
表現方法の1つに「スライス・オブ・ライフ」という方法があります。
これを使うことで、相手の五感を刺激することができます。
スライス・オブ・ライフとは?
スライス・オブ・ライフ(slice of life)は、直訳すると「生活の一片」「日常の何気ない一幕」といった意味で用いられる表現方法の1つです。
ターゲットとなる消費者の日常生活を、ドラマに見立てて表現する表現手法のことです。
日常生活でよく起こる課題を表現します。
そして販売側が売りたい商品やサービスを使えば、課題を解決できるという流れになります。
堅苦しい説明をダラダラと続けるよりも、日常生活にありふれている「あるある問題」を描くことで、強いインパクトを与えることが目的です。
頑固なお父さん犬は動かないあなた自身!?
ソフトバンクのCMで有名な「お父さん犬」。
彼は白戸家という架空の家族の父親です。
あの有名なCMを作ったのは、電通の澤本嘉光(さわもとよしみつ)さんです。
澤本さんはソフトバンク・白戸家CMの他にも、日清食費「どん兵衛」のCMや、トヨタ自動車「ドラえもん」のCMなどを手掛ける敏腕CMプランナーです。
澤本さんによると「お父さん犬を目立たせたかったわけではない」そうです。
それよりも「おもしろいCMを作ること」に集中しており、いかに白戸家が奇妙なやりとりをするかを考えていたようです。
結果的にその奇妙なやり取りが、お父さん犬を絶対的な存在まで押し上げたのです。
さて、お父さん犬は、白戸家では頑固な父親。
新しいことにもなかなかチャレンジせず、家族を静止することも多いですよね。
実はあの手法こそ「スライス・オブ・ライフ」なのです。
「頑固」なのはお父さん犬ではなく、動かない「あなた」なのです。
人が動き始める「キャズム」とは?
1962年、アメリカの社会学者、エベレット・M・ロジャーズ教授が「イノベーター理論」を提唱しました。
これは新たな商品・サービスなどの市場における普及率を示す理論です。
全体の2.5%は「イノベーター」です。
理由なく新しい商品・サービスに飛びつける人たちのことです。
全体の13.5%は「アーリーアダプター」です。
イノベーターほどではありませんが、トレンドに非常に敏感な人たち。
インフルエンサーはここに含まれます。
全体の34%は「アーリーマジョリティ」です。
すでに流行し始めている商品やサービスにいち早く飛びつく人たちのことです。
全体の34%は「レイトマジョリティ」です。
新しい商品やサービスを買っても損をしないことがわからないと購入しない人たちです。
全体の16%は「ラガード」です。
最も保守的で、新しさに興味がない人たちのことです。
イノベーターの2.5%と、アーリーアダプターの13.5%を合わせた「15%」を越えると一過性のブームではなくなり、文化に発展していきます。
この15%の境目のことを「キャズム」といいます。
キャズムを越えられるかどうかが、事業継続の分かれ目ともいわれています。
「キャズム」を超える「スライス・オブ・ライフ」
キャズムを越えるためには、アーリーマジョリティの層に受け入れてもらう必要があります。
アーリーマジョリティの層が新しい商品やサービスを受け入れるためには「安心」が必要です。
安心を与えられる1つの手法が「スライス・オブ・ライフ」なのです。
先述の通り「スライス・オブ・ライフ」は「日常の切り取り」です。
安心を与えるためには、より身近に感じてもらう必要があります。
思わずつぶやいてしまう一言を生み出せれば、相手を動かすことができるのです
【結論】生活に落ちている言葉を大切に
朝起きて仕事に行き、夜帰ってきてベッドで寝る。
そんな当たり前の生活の中に、人を動かす一言が落ちているのです。
「スライス・オブ・ライフ」は「日常の切り取り」です。
誰かの会話やコンビニでの一幕、満員電車の雰囲気など、あらためて見直してみると新しいひらめきが生まれます。
「スライス・オブ・ライフ」。
ぜひ使ってみてくださいね。