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「継続は力なり」は嘘?サンクコストにとらわれない思考法

「もったいなくて捨てられないなぁ」

数年前に買った10万円のコート。
履くと思って買った5万円のブーツ。
こういったものはなかなか手放せないですよね。
でもここ数年使っていなかったし、いつかは処分しなければならないこともわかっています。

これは、結論からいうと「サンクコスト効果」にとらわれているので注意が必要です。
特に日本人は、継続することの美学を持っている人が多いので、サンクコストの考え方が有効に作用してしまいます。

サンクコストとは?
継続は力にならないの?

それでは詳しく見ていきましょう!

サンクコスト効果とは


「サンクコスト」
とは、過去に支払い、取り戻すことのできない費用のことです。
「埋没費用」ともいいます。
また、「サンクコスト効果」とは、もう取り戻せないコストに気を取られ、合理的な判断ができなくなる心理効果のことです。
サンクコストは、お金だけでなく、時間的なコストや、労力的なコストも含まれます。

1000万円かけて設備投資をしたら、その元は取らないともったいないですよね。
しかし、設備から生み出される商品の売り上げは伸びず赤字続き。
いつかバズって初期費用を回収できるかもしれないと期待を続けても、どんどん赤字が膨らみ、完全に不採算事業となってしまいます。

これがサンクコスト効果の怖いところです。

同じ意味?コンコルド効果とは


サンクコスト効果と一緒に紹介される心理効果として「コンコルド効果」があります。
実は名前が違うだけで、意味は同じなのです。

コンコルド効果は、1970年ごろにイギリスとフランスで開発が進められた超音速旅客機「コンコルド」の失敗に由来しています。

マッハ2を超える速度での飛行を記録したコンコルドは、実際にお客を乗せて運行しました。
しかし、開発段階から乗客定員の少なさや燃費の悪さなどが原因で赤字になると指摘されていました。

開発費に4000億円かけていたプロジェクトですので、撤退することができず、結果的に数兆円もの赤字を出してしましました。
また、騒音問題、オゾン層の破壊などの環境問題や、オイルショックなどの影響もあり、会社は倒産
最悪なシナリオとなってしまいました。

コンコルド効果もサンクコスト効果も、損失が出るとわかっていながら投資を続けてしまうことという意味なのです。

サンクコスト効果の事例


サンクコスト効果の事例をご紹介します。

①購入金額などによる会員ランク
②パチンコや競馬などのギャンブル
③順番待ちをしたら抜けられなくなる

①購入金額などによる会員ランク

楽天など、購入金額などの条件が整えば、1つずつランクが上がるシステムがあります。
ランクが上がると、受けられるサービスが充実するというメリットがあります。

たとえば、毎月の利用金額が一定ラインを越えれば、ランクが上がります。
ですが、そのラインを下回るとランクが下がるということがあります。
「せっかくランクが上がったのだから」という理由で、そのランクを維持しようとするところに、サンクコスト効果の狙いがあります。

②パチンコや競馬などのギャンブル

ギャンブルは、基本的に当選確率が極めて低いゲームです。
費用がかさんでくると「これまで使った分を取り戻そう」「一発当たればチャラになる」と躍起になり、逆に費用がかさみます。
ここでサンクコストを生み出してしまいます。

③順番待ちをしたら抜けられなくなる

行列のできる有名なラーメン屋さん。
待ち時間が20分といわれたのに、30分待っても入れません。
他店に行った方が効率的なことはわかっていますが、それまでの30分が無駄になってしまうと思い、そのまま行列で我慢してしまいます。
この場合「それまでに並んだ時間」がサンクコストになっています。

継続は力なりという日本の美学の罠


日本には「継続は力なり」という言葉があります。
「継続し続けることで力がつき、いずれ目標を達成できる」という意味です。
これは浄土宗の宗教家である住岡夜晃(すみおかやこう、1895-1949)氏の「讃嘆の詩(さんだんのうた)」の一部であるといわれています。

住岡夜晃 「讃嘆の詩(樹心社)」上巻より

青年よ強くなれ

牛のごとく、象のごとく、強くなれ
真に強いとは、一道を生きぬくことである
性格の弱さ悲しむなかれ
性格の強さ必ずしも誇るに足らず

「念願は人格を決定す 継続は力なり

真の強さは正しい念願を貫くにある
怒って腕力をふるうがごときは弱者の至れるものである
悪友の誘惑によって堕落するがごときは弱者の標本である

青年よ強くなれ 大きくなれ

近年は「継続は力なり」という言葉だけが広がり、「続ける」という行動だけに注目されているような気がします。
たしかにそう考えると、途中でやめることに抵抗があります。
サンクコストが発生するからでしょう。

一方でこちらの詩を読むと、たしかに「継続は力なり」という言葉が書いてあります。
ですが実は「信念を貫くことの大切さ」を述べているのです。
「なんでもかんでも続ければ上手くいく」とは書いてありません。

信念を持った継続をしていきたいですね。

【結論】失うものはない、チャレンジから必ず学びはある

当ブログ管理人は、音声配信やYouTubeでの動画配信、Clubhouse、歩いただけで儲かるといわれたSTEPNなど、いろいろなことにチャレンジしてきたが、すべて撤退しています。
音声配信は、365日で500本以上投稿したこともありますが、稼げたお金は500円でした。

ですがそれ以上に、「継続する習慣」「ネタを探すアンテナ」「Twitter上の仲間」を得ることができました。
今はブログを続けていますが、確実に過去の経験が生きています。

そう考えると「サンクコスト」は存在しないのです。
撤退してもそこから何を学ぶか。
チャレンジしたら学びは必ずあります。

会社員としても個人としても、サンクコストにとらわれず、新しいことにチャレンジをし続けましょう!