コミュニケーション

グッドリスナーになろう|アクティブリスニングの効果と手法

「今日も部下の話を聴けなかったなぁ」
「話をさえぎって自分の話をしてしまった……」

人材育成において、上司が部下の話を聴くことは、部下の成長に欠かせません。多くの人が理解していますが、うっかり部下の話をさえぎって上司が話してしまうものです。

部下の話を聴き、部下の成長を促すためには、上司がグッドリスナー(良い聴き手)になる必要があります。ではグッドリスナーになるためにはどうすればよいのでしょうか?

結論からいうと、グッドリスナーになるためには「アクティブリスニング」が欠かせません。アクティブリスニングができれば、部下の成長スピードを早めることができるでしょう。

それでは詳しく見ていきましょう!

アクティブリスニングとは?


アクティブリスニング
とは、アメリカの臨床心理学者、カール・ロジャースによって提唱された話の聴き方に関するスキルです。アクティブリスニングは「積極的傾聴」のことです。よりよい人間関係を構築することが目的です。

アクティブリスニングもヒアリングも、相手の話を聴くことは同じです。アクティブリスニングを理解するためには、ヒアリングとの違いを見るとわかりやすいでしょう。特徴をまとめると次のとおりです。

アクティブリスニング ヒアリング
目的 人間関係の構築 情報収集
効果 話し手が問題解決できるようになる 商談が円滑に進む
必要なスキル 傾聴スキル 質問スキル
必要な人 主にマネジメント層 主に営業担当

アクティブリスニングは、部下を持つ上司が、部下の成長のために行う1on1ミーティングなどで使われることが多いです。上司が部下の悩みを聴くことで、部下との人間関係を構築しやすくします。

一方ヒアリングは、情報収集の場面で使われることが多いです。取引先にヒアリングを行い、自社の製品やサービスについての課題を把握して改善したり、新商品を売り込んだりします。相手の課題を把握することで、新たなニーズを理解することができます。

アクティブリスニングもヒアリングも、ビジネスにおいて効果的な聴き方です。ただし、使う場面が異なるので、特徴を理解して使い分けるとよいでしょう。

アクティブリスニングの基本となる「傾聴力」については、こちらで詳しく紹介しています。

傾聴力|聴き上手になるコミュニケーションのトレーニング法【5選】「自分の話をし過ぎたな……」 「なぜか会話が続かないな……」 毎日欠かせないコミュニケーション。よりよいコミュニケーションをとり...

アクティブリスニングの効果


アクティブリスニングの効果は、主に次の4つが挙げられます。

①人間関係が良くなる
②ハラスメントがなくなる
③コミュニケーションが増える
④話し手が問題解決できるようになる

①人間関係が良くなる

アクティブリスニングは、相手の話を批判なく聴くことが大前提です。聴き手は話し手に肯定的な関心を示します。

普段は本音を話さない部下も、上司がアクティブリスニングをすれば、部下の本音を引き出すことができるかもしれません。アクティブリスニングは、本音を話し合える良好な人間関係を創ることにつながります。

②ハラスメントがなくなる

アクティブリスニングは、上司が部下に対して行うことが有効とされています。アクティブリスニングを通して、部下の困っていることを引き出せれば、風通しの良い職場になりますね。

ハラスメントに困っている部下が、ハラスメントについての話をしてくれるかもしれません。職場のハラスメントは、会社にとって死活問題。アクティブリスニングを通して、ハラスメントの抑制につなげましょう。

③コミュニケーションが増える

アクティブリスニングは、話し手の話を引き出すことにつながります。そもそも話が苦手な人もいます。コミュニケーションを避ける人も多いでしょう。しかし、聴き手がアクティブリスニングは話し手の話しやすい雰囲気を創ることができます。

アクティブリスニングを継続することで、少しずつコミュニケーションの量が増えていくでしょう。

④話し手が問題解決できるようになる

アクティブリスニングは、アドバイスを与えることはしません。話し手が悩みを話していく中で、話し手自身が悩みの原因や対処法を見つけられるようにサポートします。

人は成長するために①具体的な経験→②内省→③教訓化→④教訓を適用というステップを踏むとされています。

具体的な経験.pngアメリカの心理学者、デイビット・A・コルブ氏が提唱

アクティブリスニングは、話し手の内省と教訓化を進め、話し手の問題解決能力を高めることができるのです。

アクティブリスニングの効果的な使い方


アクティブリスニングができ、グッドリスナーとなったら、1on1ミーティングを行うことがおすすめです。ヤフー株式会社や楽天、DeNAなどが導入している1on1ミーティング。特徴をまとめると次のとおりです。


ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法

人材育成目的の個人面談
週1〜月1程度の頻度
・1回15分〜30分程度
・主に上司と部下で行う
・上司による指導の場ではない
上司は傾聴し部下を評価しない
・話題はプライベートからキャリア支援まで

1on1ミーティングは、主に上司と部下で行います。部下が自身の経験を話すことで、内省し、教訓化していきます。上司は部下の話に傾聴し、相槌を打ったり、言語化したりしながら、部下の内省をより深く・広くできるように手助けをします。そして部下が自ら教訓を見つけ、今後その教訓を活かせるようにしていきます。

このように1on1ミーティングは、部下の内省、教訓化を上司が手助けすることで、部下の成長にブーストをかけることができます。

1on1ミーティングはこちらで詳しく解説しています。

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【結論】グッドリスナーになって上司も成長しよう

アクティブリスニングは上司が部下の話を聴く時に、非常に有効な手段です。部下が普段は話しづらいと思っていることを、話しやすくなり、部下の成長につながります。

ただ、アクティブリスニングをして成長するのは部下だけではありません。上司も部下の考えていることを聴くことで、考えの幅が広がります。部下は部下の立場だから感じられたことがあるはずです。その考えを聴くことは、上司の価値観を広げることにつながります。

グッドリスナーになれば、上司も部下も成長します。傾聴のスキルから高めていきましょう。

傾聴力を高めるゲームはこちらで紹介しています。

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