コミュニケーション

【上司側】失敗しない1on1ミーティングのやり方|よくある失敗と対策

「今日の1on1ミーティングを話しすぎちゃったな……」

部下の成長を目的に行われる1on1ミーティング。アメリカのシリコンバレーでは、有効な人材育成手法として根付いています。日本でもヤフー株式会社が取り入れ、その成果を書籍出版したことが話題になっています。

1on1ミーティングは部下の成長を促すことが目的のため、部下自身が話し、気づきを得る必要があります。しかし、上司が部下に教えたいあまり、うっかり上司が話しすぎてしまうこともありますよね。

本記事では、1on1ミーティングを効果的にするための「上司側の」方法をまとめました。「質問したつもりが、詰問になっていた……」。そんなよくあるミスを無くしていきましょう!それではここから詳しく見ていきましょう!

1on1ミーティングとは


ヤフー株式会社や楽天、DeNAなどが導入している1on1ミーティング。特徴をまとめると次のとおりです。


ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法

人材育成目的の個人面談
週1〜月1程度の頻度
・1回15分〜30分程度
・主に上司と部下で行う
・上司による指導の場ではない
上司は傾聴し部下を評価しない
・話題はプライベートからキャリア支援まで

人は成長するために①具体的な経験→②内省→③教訓化→④教訓を適用というステップを踏むとされています。

具体的な経験.pngアメリカの心理学者、デイビット・A・コルブ氏が提唱

1on1ミーティングは、主に上司と部下で行います。部下が自身の経験を話すことで、内省し、教訓化していきます。上司は部下の話に傾聴し、相槌を打ったり、言語化したりしながら、部下の内省をより深く・広くできるように手助けをします。そして部下が自ら教訓を見つけ、今後その教訓を活かせるようにしていきます。

このように1on1ミーティングは、部下の内省、教訓化を上司が手助けすることで、部下の成長にブーストをかけることができます。

1on1ミーティングの実施方法はこちらで詳しく解説しています。

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ティーチングとコーチングの違い


1on1ミーティングでは、部下を指導するティーチング的な関わり方ではなく、部下が気づきを得て行動を変えていくコーチング的な関わり方が求められます。ここでは、ティーチングとコーチングの違いをまとめました。

ティーチング コーチング
目的 教育、問題解決、目標達成など 相手の成長、行動の促進
答え 上司側ルールなどににある 部下側の中にある
主な方法 正解を教える 対話を通して気づきを与える
有効なケース 緊急性が高い場面 緊急性が低く重要性が高い場面
有効な対象者 スキルや知識、経験が乏しい場合 スキルや経験、知識が一定上備えている場合

前提として、人材育成において、ティーチングとコーチングのどちらが正解ということはありません。場面によってティーチングとコーチングを使い分ける必要があります。

ただし1on1ミーティングは、部下自信が過去の経験を内省し、教訓化することが必要不可欠です。上司が教訓を教えても、部下が自分ごとにできないため、効果は薄いとされています。

ですので、1on1ミーティングにおいては、コーチング的な関わり方が必要となります。ティーチングとコーチングの違いを理解した上で、コーチング的な関わり方で、1on1ミーティングを進めていきましょう。

「詰問」しないために


1on1ミーティング中、部下の話を引き出すために上司は質問をします。

上司:そういえばこの前のプロジェクトで悩んでいたみたいだけど、大丈夫だった?
部下:はい、なんとか解決策を見つけて締め切りに間に合いました。
上司:そうなんだ、誰かに相談したの?
部下:いえ、自分で調べたりして進めました。
上司:なぜ相談しなかったの?
部下:上司も先輩も、いそがしそうだったので……
上司:いそがしそうだった?それは本人に聴いたの?
部下:いえ、勝手に僕がそう思い込んでしまいました……

上司は部下に話をしてもらおうと、疑問文で返すように努力していました。しかし、一問一答の形となり、部下も答えに困ってしまいました。これを「詰問(きつもん)」といいます。詰問の定義は「相手を責めながら、返事を追って問い立てること」です。詰問をしてしまうと、相手は「上司に責められた」と感じてしまいます。

「質問」「詰問」
どうすれば相手を責めない「質問」にできるのでしょうか。

ポイントは次の4つです。

①傾聴に徹する
②拡張話法を使う
③心理的安全性を確保する
④「Why」ではなく「How」を使う

①傾聴に徹する

1on1ミーティングの基本は、上司の傾聴です。部下の言葉だけでなく、話し方や表情、姿勢、しぐさなど、言葉以外の部分にも注意を払って、相手を理解しようとする姿勢を保つことが大切です。

傾聴の特徴は次の2つです。

①受容:相手を受け入れること
②共感:相手の気持ちに寄り添うこと

上司は部下の話に対し、受容し、共感していることを言葉や頷き、相槌などを通して表現しましょう。傾聴をすることで、詰問ではなく質問をすることができます。

傾聴力を高めるトレーニング方法は下記で紹介しています。

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②拡張話法を使う

拡張話法とは、話し方ではなく、聴き方のスキルです。

ステップ1|感嘆:大きなリアクション「へー!」
ステップ2|反復:オウム返し
ステップ3|共感:寄り添う「大変でしたね」など
ステップ4|称賛:相手を褒める「すごい!」
ステップ5|質問:簡単な質問「どう思ったの?」

この5ステップを行うことで、部下は「上司は話を聴いてくれている」と安心することができ、さらに話をしてくれるでしょう。

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③心理的安全性を確保する

心理的安全性とは、「何を言っても大丈夫」と思える雰囲気のことです。誰もが安心して自分の考えを言ったり、行動に移したりすることができれば、生産性は高まるといわれています。

1on1ミーティングにおいて、部下は上司に話すことを半ば強要されます。ですので、「何を話しても大丈夫」と感じてもらうことは必要不可欠です。

ちなみに、心理的安全性が高いかどうかは、「部下からの相談が多いかどうか」で判断できます。「ここ1ヶ月くらい、部下から相談がない」という上司の方々は、心理的安全性が確保できていない可能性がありますので、ご注意ください。

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④「Why」ではなく「How」を使う

「Why(なぜ)」という質問ではなく、「How(どのように)」という質問をしましょう。これはサッカー日本代表の長友佑都選手が考えている思考法です。

「Why」という質問をすると、過去のことにフォーカスを当ててしまします。たしかに失敗をした時に原因を究明し、次に同じ失敗をしないように努力することは必要です。しかし、過去の失敗ばかりを見ていると、それはすべて後ろ向きとなってしまいます。

「How」という質問をすると、「次どうするか」を考えることになります。これだけで気持ちが後ろ向きではなく前向きになります。さらに次の具体的なアクションを考えることになりますので、部下の行動が変わるきっかけになります。

詰問ではなく質問をして話を広げたいならば、「Why」ではなく「How」を使った質問をすることをおすすめします。

【結論】上司にできることはまだある。詰問をやめて部下の話を引き出そう!

断言できることとして、詰問をしてしまったのは、上司側の問題です。部下側に問題はありません。上司が成長すれば、部下の話を広げることができますし、1on1ミーティングの効果を高めることにつながります。

あらためてポイントは次の4つ。

①傾聴に徹する
②拡張話法を使う
③心理的安全性を確保する
④「Why」ではなく「How」を使う

この4つのポイントを1つずつマスターし、より効果のある1on1ミーティングを進めていきましょう!

自身のコミュニケーションスキルを高めたいなら、専門家に相談したり、学んで検定を受けたりすることをおすすめします。特に専門家への相談は、オンラインで約90分話せて、今なら無料。無料相談はいつ終わるかわからないので、今受けることをおすすめします。申し込み方法などはこちらでご紹介しています。

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