コミュニケーション

応答技法|もう質問攻めはしない!双方向コミュニケーションの極意

「質問攻めみたいになってしまったなぁ……」

コミュニケーションをとろうと意気込んで、なんとか会話を続けようと努力をしたら、質問ばかりになり、相手が回答に困ってしまった。誰でも一度は経験があると思います。しかし質問攻めだと、こちらから聴くことの一辺倒で、コミュニケーションが成立していません。どうすれば双方向のコミュニケーションにできるのでしょうか?

結論からいうと「相手の気持ちや思考に目を向ける」ことをおすすめします。そのためには「応答技法」を駆使し「応答力」を高めましょう。

それではここから詳しく見ていきましょう!

「応答」とは


応答は、相手の経験したことや感じていること、望んでいることなどを的確に捉え、それを相手に確認することです。応答ができると、話を聴いていることや理解していることを、言葉を使わず伝えることができます。また、相手に自分の気持ちを分かってもらえた、受け入れてもらったと感じてもらうことができます。

つまりお互いの気持ちを一致させ、心理的な安心・安全を確保することができるのです。

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具体的な応答の技法


応答は、相手が言葉にできていないことや、あいまいなことをはっきりさせることが目的です。相手の心の奥底にあり、相手も気づいていないことを掘り出す作業になります

ただ、こちらが引き出すのではなく、あくまで相手自身に気づいてもらうことが目的です。そのことを念頭においておきましょう。その上で、相手自身が心の奥底にあるものに気づいてもらうために、次のような技法があります。

・承認
・要約
・繰り返し
・あいづち

・承認

相手が話したことに対して、肯定的な意志を示しましょう。この時相手の行動だけを認めるのではなく、その行動の裏側にある気持ちや思考に対して肯定的な意志を示すことが大切です。行動はあくまで結果。気持ちや思考を認めてもらえると、存在そのものを認めてもらっていると感じ、より話をしやすい雰囲気を作ることができます。

(例)
「そうしたくなるくらい、悔しかったんですね」「大変だったんですね」「それは嬉しかったですね!」

・要約

相手の話を短くまとめ、整理し、わかりやすく確認をすることです。相手は短くまとめようとしていません。思うままに話すので要点がまとまっていないことがほとんど。話をまとめて言語化することで、心の奥底にあるものに気づきやすくします。

(例)
「つまり〇〇ということですね?」 「あなたは△△と思っているんだね」

・繰り返し

繰り返しは、相手の使った言葉をそのまま繰り返すことです。繰り返しを使う時はオウム返しのように、同じ言葉を使うようにしましょう。別の言葉に言い換えると自分の解釈を挟んでしまうので、誤解を招く恐れもあります。会話の序盤は繰り返しを使い、誤解を生まずに会話を進めることをおすすめします。

(例)
上司:取引先の方々、私たちのプレゼンを喜んでくれていたね!
自分:はい、喜んでいただけましたね!

・あいづち

「なるほど」や「へー!」などは「間投詞」といいます。驚きや喜び、悲しみなどの感情を直接表現するときに用いる単語です。自然に口をついて出ることがほとんどです。あいづちを打つことで、話し手に「聴いてもらっている」という安心感を与えることができ、話を引き出すことにつながります。

(例)
「なるほどね!」「うんうん!」「へー!」

応答技法を高めるゲーム


応答技法を高めるためには、次のゲームがおすすめです。

✔️私は誰でしょうゲーム

【準備段階】

・3人1組
・話し手、聴き手、観察役に役割分担
・話し手は人間以外の何かになる
・たとえばゴリラ、東京タワー、みかんなど
・話し手はなりきった何かならではの悩みを話す
・話し手は何になりきったかを公開しない
・どんな質問も答えられる範囲で答える

このゲームは話し手が何かになりきることがポイントです。悩みを話しますが、それはあくまでなりきった「何か」の悩みであり、自分の悩みではありません。ですので人格を否定されることはなく、話し手も聴き手も安心して話すことができます。

このことから、聴き手が話を引き出せるかどうかは、心理的な安心・安全が大切であることがわかります。

【ゲーム段階】

①聴き手が話し手に質問をして何になりきったか当てる
②話し手の悩みを聴く
③話し手の悩みを深掘りしていく

この段階では質問をすることが基本となりますが、このゲームで大切なことは的確な質問をすることよりも、質問をする時の雰囲気作りです。承認、要約、繰り返し、あいづち。これらのスキルを使いながら、相手が答えやすいような雰囲気を作りましょう。答えやすい雰囲気を作ることができたら、話し手はどんどん悩みを話してくれるでしょう。

【振り返り段階】

①聴き手がどのような意図で質問をしたかを話す
②話し手が質問された時の感想を話す
③観察役が感想を話す

ゲーム後にそれぞれの役の人が、順番に感想を話します。本来のコミュニケーションで、どのように思ったかを話す機会はなかなかありません。話し手のためを思ってした質問が、相手にストレスを与えている可能性もあります。どのように伝わるかは人それぞれです。受け入れる気持ちを持って、話を聴いていきましょう。

【結論】安心してもらえる人になろう!

双方向のコミュニケーションをするためには、事実や行為よりもその裏側にある気持ちや思考に目を向けることが大切です。そして気持ちや思考を聴くためには、心理的な安心・安全を確保し、「何でも話せる!」と思ってもらうことが必要不可欠です。

厳しさも時には必要ですが、厳しさばかりでは人はついてきません。応答力を高めることができたら、相手は自分の心の奥底にあるものに気づきます。気づくことができれば、自分から動くようになります。会社員こそ応答技法を高めて、活力ある職場を作っていきましょう!

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