コミュニケーション

学びは7・2・1|1on1ミーティングで部下の成長にブーストをかけよう

「なんで部下は同じミスを繰り返すのだろう……」

ビジネスにおいて、人材育成は欠かせません。昨今、どの業界も「人手不足」が叫ばれており、効率的に部下を育てていくことが求められています。

ですがどの業界にもいるのが「同じミスを繰り返す部下」です。研修をしたり、本を読ませたりしましたが、なかなかその効果が見えづらいと、やきもきしますよね。ではどのようにすれば部下が成長し、会社としての生産性を高めることができるのでしょうか。

結論は「経験学習から教訓を生み出すことが学びになる」です。ただ経験するだけでは、成長にはつながりません。1on1ミーティングを使って、部下の成長にブーストをかけていきましょう。

それでは詳しく見ていきましょう!

7・2・1の法則

「7・2・1の法則」という言葉があります。これは人の成長の要素を決める割合のことです。内訳は次のとおりです。

経験から学ぶ→7割
他者から学ぶ→2割
研修や書籍から学ぶ→1割

これが「7・2・1の法則」です。ビジネスの世界では、人材育成が欠かせません。人を効率よく育てるために、「7・2・1の法則」に基づいて、人材育成が進められています。

会社員であれば、他者や研修、書籍からの学びよりも、「自身の経験から学ぶことの方が多い」ことに理解できると思います。

嫌々受けさせられたセミナーや、周りの人が読んでいるからなんとなく読んだ自己啓発本などは、効果的な学びにはつながりませんよね。それよりも、取引先や顧客に満足してもらったり、逆にクレームを受けたり、実体験の方が学びが深くなります。

「オンザ・ジョブ・トレーニング(On-the-Job Training)」、通称「OJT」があらゆる企業で研修として取り入れられている理由は、経験学習をさせたいからなのです。

経験から教訓を見つけることが学び


しかし、「ただ経験すれば学べる」わけではありません。同じような過ちを何度も繰り返す人も多く見られますよね。ここに落とし穴があります。

経験学習の効果を最大化するためには、経験から得た学びを「教訓化」することが大切です。

アメリカの心理学者、デイビット・A・コルブ氏は、人が経験から学ぶ時は「具体的な経験→内省→教訓化→教訓を適用」のサイクルをたどることが必要としています。

具体的な経験.png「7・2・1の法則」で示すとおり、教訓を他者に伝えられても効果は低いです。あくまで経験した本人が内省し、内省から「教訓」を導き出す必要があります。そして「教訓」を活かす場で実践する。このサイクルが、経験学習にブーストをかけることができるのです。

成長の鍵となるのは、具体的な経験を内省した時、いかに多く、いかに質の高い「教訓」を得ることができるかです。そのための有効な手段として「1on1ミーティング」が注目されています。

経験学習を促進させる「1on1ミーティング」とは


ヤフーや楽天、DeNAなどが導入している1on1ミーティング。まとめると次のとおりです。

・人材育成目的の個人面談
・週1〜月1程度の頻度
・1回15分〜30分程度
・主に上司と部下で行う
・上司による指導の場ではない
・上司は傾聴し部下を評価しない
・話題はプライベートからキャリア支援まで

1on1ミーティングは、主に上司と部下で行います。上司と部下の信頼関係を築き、モチベーションを向上させ、成長を促すことに目的があります。

上司が部下に指導する時間ではなく、部下が話したいことを話す場です。上司は部下の話を傾聴することが求められます。部下の話を傾聴できれば、部下自身が経験を内省し、教訓を導き出すことができます。成長のスピードにブーストをかけることができるのです。

ーいそがしい上司がわざわざ自分の話を聴くために時間をとってくれたー

この事実だけで、部下は上司に信頼を置けるようになります(信頼を置くきっかけになります)。

1on1ミーティングを効果的に進めるためには、1on1ミーティング中の「心理的安全性」が必要です。部下が上司に「何を言ってもいいんだ」と思ってもらえるように、上司が「心理的安全性」を確保することが絶対条件となります。
心理的安全性についてはこちらで詳しく紹介しています。

心理的安全性とは|作り方をわかりやすく解説「今日も会議で何も言えなかった……」 「上司に言いたいことがあるんだけどなかなか言えないなぁ」 間違ったことを言って叱られるのが...

【結論】不確実な時代だからこそ1on1ミーティングを!


今の時代は「VUCAの時代」といわれています。「VUCA」とは

Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)

の頭文字をとったものです。社会の環境が激しく変化し、今後の予測が難しい状態を指します。

急激な変化に素早く対応するためには、上司の指示待ち人間になってはいけません。会社員でありながらも、個人で判断し、変化に対応していく力が求められます。

1on1ミーティングで経験学習を促進できれば、個人が育ちます。個人が育てば、変化の激しい社会に会社として対応することができます。

不確実な時代だからこそ、1on1ミーティングは注目されているのです。1on1ミーティングを取り入れてみませんか?

こちらの書籍でわかりやすく解説しています。

『ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』著者:本間浩輔