コミュニケーション

共感の神|天才を生かす凡人会社員としての生き方とは

「社長の言いたいことがよくわからない……」
「社員が思う通りに動いてくれないなぁ……」

スタートアップ期のベンチャー企業、立ち上げ当初の任意団体。初期はどうしても、リーダーとメンバーのコミュニケーションが難しく、それぞれの立場で不満が溜まっていきます。リーダーはどうしたらメンバーを動かせるのでしょうか?メンバーはどうしたらリーダーを強く支えられるのでしょうか?

結論からいうと「それぞれのタイプを理解し、担当を決める」ことをおすすめします。北野唯我さんはその著書『天才を殺す凡人』で、凡人こそ「共感の神」になるべきと語っています。

それではここから詳しく見ていきましょう!

天才、秀才、凡人とは?


大前提として、天才、秀才、凡人それぞれに良さと悪さがあります。
天才が最上位、凡人が最下位ということはありません。そして誰しもが天才、秀才、凡人それぞれの要素を持ち合わせています。

天才は独創性が強い人のことです。独創的なアイディアを、誰も考えつかないような方法で実行することを得意とします。ただ、順序立てた説明が苦手なので、理解してもらえず孤独を抱えることが多くあります。

(例)Apple創業者のスティーブ・ジョブズ氏は、独創性のカタマリのような人で、iPodやiPhoneなど、世の中を変える製品を生み出しています。しかし、自らが立ち上げたAppleを追い出される経験を持ちます。独創的すぎて理解されなかったようです。

秀才は論理性が強い人のことです。ロジカルに考えることを得意としています。数字に強く、堅実・着実に仕事を前に進めるタイプで、具体的な目標設定をし、適切な管理のもとで進めることができます。そのため、マネージャー系の立場になると強みを発揮できるでしょう。

数字に強い一方、数字で測れないものは信じられない傾向にあります。肌感覚だけで判断し、大きなリスクをとることがでいる天才系の人に、強い嫉妬や劣等感を抱くことがあります。

凡人は共感性が強い人のことです。全人口の8〜9割いるといわれています。人の気持ちを察することが得意だから、相手の反応を予測して動くことができる強みを持っています。一方で、仕事を共にする相手によって仕事のパフォーマンスや感情が大きく左右されてしまいます。

✔️独創性の天才
✔️論理性の秀才
✔️共感性の凡人

どのタイプが自分に色濃く出ているかを理解しておくことで、組織に貢献する術を知ることができます。

天才が強みを発揮できない組織とは


凡人は全人口の8〜9割いるとされています。
つまり天才も秀才も超少数派。それもそのはず、太古の昔、大型の恐竜や動物に人間が立ち向かい、生き抜くためには、多くの人と協力することが必須でした。「お互いに協力できたDNA」が生き抜くことができ、今に至る訳です。適者生存。その環境に適応できた人こそ、強いのです。世の中は凡人という多数派でできているのです。

少数派の天才が独創的なアイディアで新しい会社を生み出し、天才に魅了されたごく少数の凡人と共に運営しています。凡人たちは報酬などの条件ではなく、天才の魅力に魅かれて一緒に働いているので、労働条件などはあまり気にしません。

最初の頃はこれで問題ないのですが、会社が発展し、売上が大きくなってきたら社員を多く入れる必要があります。新たに採用した社員は、天才に魅了されたわけではなく、労働条件に魅力を感じて入社しています。ここが天才を苦しめるのです。

天才の言葉にできない、直感での判断に基づくトップダウンの命令に、新たな社員たちは大きな違和感を抱えてしまいます。そのうち、会社の経営については「多数決」で決めることになります。

天才は、秀才や凡人に見えない未来が見えているからこそ魅力的なのです。多数決をしたら圧倒的多数派の凡人に負けてしまいます。「数」という強さを持つ凡人は、得意の共感生を活かし、人数が多い方に流れてしまいます。

そうして天才が強みを発揮できない組織になってしまうのです。

天才を生かす共感の神


天才は凡人に助けてもらう必要があります。
その存在こそ「共感の神」なのです。

天才はその独創性から、秀才や凡人には見えない景色を見ています。しかし、共感生がないため、その伝え方がわからずに悩んでいます。そこで凡人の力が発揮されるのです。凡人が共感性の強い言葉を使って、天才の考えていることを世の中に発信します。そうして天才の理解者が増えていくのです。

1人の天才と、世の中の多数派の凡人の通訳となる凡人こそ「共感の神」なのです。天才が成功するためには、この共感の神との出会いにかかっているのです。

天才は身近な凡人を大切にしよう


天才にとって面白い人は、同じ天才です。新しい価値に魅力を感じるので、独創性を持った天才を繋がりたいと思っています。しかし、天才と天才がくっついても、お互い突拍子もない意見ばかりで、物事を前に進めることに苦労します。時に衝突して傷つくこともあるでしょう。

だからこそ、天才は凡人を大切にするべきなのです。天才にとっての凡人とは、なぜか身近に居続けてくれるけど、天才をはっと驚かせるようなアイディアを言わない人のことです。天才の意見に共感をしてくれて、天才の自己肯定感を高めてくれる人のことです。

多数派の凡人をこちらに振り向かせるためには、身近な凡人の協力が不可欠なのです。

凡人は天才の通訳になろう


凡人は、天才の通訳になりましょう。
天才は共感生がないため、相手に伝わりづらい言葉を使います。そのため理解されないことが多くあります。そんな時こそ凡人の出番です。

凡人が天才の考えを噛み砕き、凡人の言葉で伝えていきましょう。この世界の最大派閥である凡人軍団に振り向いてもらうためには、凡人らしいわかりやすい言葉で伝えていくことが最も効果的なのです。

【結論】すべての会社員は共感の神になれ!

会社員は本来、その会社の理念や社長の考えが好きで入社しています。であれば、すべての会社員が会社や社長にとっての共感の神になるべきなのです。共感の神になれないのであれば、天才・秀才の色が強いということなので、会社を飛び出し、個人で働く生き方を選択しても良いかもしれません。

世の中を変えるためには、独創的な天才と、共感の波を起こせる凡人にかかっています。天才と凡人が手を取り合って突き進んでいきましょう!